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第四回「ASPARK Owl」カーデザイナー大津秀夫氏 独占インタビュー

Updated: Mar 18

インタビュアー:真栄中美樹





プロポーション、顔つきとおしり。

といいたいところですが、まずプロポーションはちょっと不本意なところがあります。

フロントウインドーの下端位置が後ろ過ぎるのです。本当はもう少しここを前に出して、相対的にノーズを現状よりも短くまとめたかったのですが、技術要件(ドライバーの位置、フロントウインドーの角度など)とお客様のお好み(フロントが長いのが好き)を反映してこういう事になりました。少し俯瞰気味に見ればまだいいのですが、真横から見ると今でも正直これはちょっとなぁ…と思います。


デザインは何度も練り直され、形作られます。


顔つきは十分好みのものにはなったので決して悪くはないのですが、ヘッドライトの外形形状はいいとして、中身のライトユニットやアウターレンズを本当はもっと立体的なオリジナリティのあるデザインにしたかったです。ショーカーに関しては各国のレギュレーションを無視して好き放題やることも出来ないわけではないですが、凝った造作にして納期に間に合わなくなったら困りますし、その後の市販バージョンの開発時に時間もコストもかかり過ぎないように、最低限パーツの手配が出来てちゃんと車検が通ること、を考慮してこのデザインにしました。ですが、許されるのならよりもう少し凝った構成の、より未来的に見えるようなものにしたかったです。

おしり、リヤ周りも結果としては十分以上にいい見た目で魅力的になったと思えるので、結果としては良かったと思うのですが、これもヘッドライト同様、本当はもっと凝った構成のものにしたかったです。現状は構成で言えばものすごくシンプルなものです。



“成立するのならばシンプルに”を信条とするする私ですが(後ほどまた触れます)、ヘッドライトとテールライトはどちらも外形形状はほぼそのままに、構成やディティールをもう少し凝ったものにしたかったです。




と、ここまで書いてきておいてなのですが、“オンリーワンになるために”ということで言うと…、

私は実はあまりそういう事に重きを置いていないというか、アプローチが違っていて…、結果としてそうなるのはいいなというスタンスです。 こういう言い方はあまり良くないのかもしれませんが、似たものや参考にしたものがあったとしても、それらよりも良いものになっていればいいじゃないか、というスタンスでもあります。

その考え方はデザイナーとしてどうなの?と思われる方は多いと思いますし、オリジナリティのあるデザイン、他に似たものが無いという事の価値は十分認識しています。そして残念ながら自分にはそのオリジナリティや新しさを生む能力が足りないとも認識しています。(デザイナーとしてそれはまずいんじゃないかとも思いますが…)


そういう認識はあるのですが、ただ似たものが無いようにするがために、無理やり個性を出すために不要な造作をしてしまったりするのは大間違いだと思っています。

個性を出すために不細工にしてどうする!ということです。不細工になっていないのであればいいのですが、残念ながらこの観点で見るとうまくいっていない車のほうが多いように思います。自分の中では、成立するのならばシンプルに、それが基本です。奇抜なことはそれ自体を目的とせず、機能面での合理性や美しさを突き詰めていった先にそれがあって、それが魅力につながっているのならOK。きれいに整っているものがあるのならなるべくそのままに…。(基本こういう考え方なので、正直なところデコラティブなデザインは苦手です)付け加えていえば、“違和感を感じたらやり直すことをいとわずに”ということです。完成度の低さや魅力の不足などを感じたら、それをそのままにしないようにと心がけています。


そうやって、自分が本当に気に入ったものを作れれば、結果としてそれはオンリーワンになるのではないかと思っています。自分の好みを自分以上に反映できる人は他にいないからで、誰かと全く同じ好みという事は実際問題としてほぼ無いと思いますので。ただ、自分以上に良いものを作る人は世の中に沢山いて、とてもこんなものは自分には出来ないな…と思うこともしばしばあります。





 インテリアパーツのほとんどがそうなのですが、従来どおりの製法で作っていたら絶対間に合わない…、どうする?という切羽詰った状況だったのですが、

(プロジェクトの途中で沸いて出たフランクフルトショー出展話ですから、もう最初から工期に無理があるわけです)

懇意にしている外注業者を通して中国の3Dプリンター(光造形)を使う成形業者に発注したものが、国内では考えられないような速さで、クォリティも抜群で、ものすごく助かりました。

(普通は出来上がったものを手仕上げできれいにする工程が必要なのですが、それが不要と思えるようなものがかなり多かった)

他のどんな製法でも、また同じ3Dプリンターといえども国内の業者ではこうはいかなかったと思います。少なくとも私が知る限りこんなことが出来る業者は日本にはありませんでした。これは別の見方をすれば、日本国内のこの種の業者にとっては先行きが厳しいことを意味していて、どうにもならないことかもしれませんが、ちょっと悲しくもあります。とにかく、中国恐るべし、です。

(中国は設備投資も盛んで最新鋭の大型の設備をどんどん導入していくので、その差は開いていく一方…)




  ボディをとにかく軽く作らなければならなくて(要求性能の0~100km/h加速の記録が狙うためには可能な限り軽くしたいので)、考えうる最高のもの、ハニカムコアをはさんだドライカーボン(カーボンプリプレグをオートクレーブで成形)のサンドイッチパネルという極めて贅沢なもので全てのボディパネルを作ったのですが、同様の構造のパネルをかつて構造材として使った経験があるとはいえ、外装パネルとしては私にとって初の試みで、設計、データ作りからずっと心配(成形後に問題が発覚しても修正が難しく、設計ミスが許されない)と期待(他の材料と比較して別格の軽さと超高剛性を持つ最高の物理特性)をしていたものです。


製作をお願いした業者は日本で最初にこの製法でレーシングカーのボディを作った方のひとりが創業されたところで、豊富な経験と高いスキルを持っているところで、少しばかりの修正は必要でしたが、完璧とは言わずも十分良い物を作ってくれました。

軽量/高剛性なのは想像どおりというか計算どおりで、それは普通にすばらしく良いことなのですが、その軽さにより、大型のパネルもひとりで簡単に持てるので取り回しが良くて作業性がものすごく良かったと、アッセンブルをお願いした凄腕モデラーから聞きました。

他の製法ではこんなことは考えられないことで、色々な意味ですばらしいなこのドライカーボン・ハニカムサンドイッチパネルは、という感じでした。ただし、これを作るためにはマスター型から始まって、成形型、成形品、どれもとても高価ですし相応な工期が必要なので、そうそう簡単には使えないのが難しいところです。






 特に何か別の事をするということは無いです。

普通にアイディア出しを続けます。頭に浮かんだイメージを紙に手描きでちょっと描いてみて、良さそうだなと思ったらすぐに3Dソフト上で作って確認。この時点であんまり良くなさそうならその案は捨てて、良さそうだったら少しずつ修正して洗練させていきます。その途中でやっぱり思ったようなものにならなそうだと思ったらそこでやめて、また最初に戻ります。その繰り返しです。



デザインが浮かばない時というわけではないですが、車のデザインをしていない時という事であれば、オーディオ、特にスピーカーのデザイン、設計をよくやっています。

あとは、これもデザインが浮かばない時というわけではないですが、よくやっているのは車関連のサイトを巡回して新型車のニュースっぽい記事を見たり、好きな車の画像を見つけては保存してため込んでいます。過去に保存したものと同じものを忘れてまた保存してしまう、ということもよくやりますw

 同じようにメカニズム関係の画像も、興味のあるもの、仕事に使うことがありそうなものなど保存しています。透視画像を作る仕事では、こういった画像がアイディア出しに役立つことはあります。

好きな音楽を聴くという事はよくやりますが、それはアイディアが出ないから気分転換で、というようなものではなく、普通に仕事しながら流しています。

ロードバイクに乗る、室内で3本ローラーをこぐ(競輪選手が室内でトレーニングで乗るアレです)、という事もやりますが、それらもやはりアイディアが出ないときの気分転換ではなく、それはその目的でやることなので、この質問に対する答えにはならないですね。





当初心配していたよりもいいものになったと思えて、あぁ良かったと思いました。初期の頃のデザインは自分で全然良いと思えなかったので、あれをよくここまでに持ってこれたな…、というふうに思いました。

お客様であるアスパーク社の吉田社長もとても気に入ってくれましたし、最初は自分のところの赤い車(IF-02RDS)のほうが自分は好みだと言っていた池谷さんも、“やっぱりこっちもいいですね、いやぁカッコイイ…。“

と言ってくれて嬉しかったです。



次回に続く


第一回「ASPARK Owl」カーデザイナー大津秀夫氏 独占インタビュー

http://tinyurl.com/y25z9b9j

第二回「ASPARK Owl」カーデザイナー大津秀夫氏 独占インタビュー

http://tinyurl.com/y5q7w38o

第三回「ASPARK Owl」カーデザイナー大津秀夫氏 独占インタビュー

http://tinyurl.com/y27zpg23

第五回「ASPARK Owl」カーデザイナー大津秀夫氏 独占インタビュー

http://tinyurl.com/y6tqfzfo

最終回「ASPARK Owl」カーデザイナー大津秀夫氏 独占インタビュー

http://tinyurl.com/yx8r6zkm




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